グリゴール・ディミトロフのフォアハンド解説、ポイント

photo by Marianne Bevis

 

ツアーでもひときわ美しいフォームを持つブルガリアのグリゴールディミトロフ。

かつてはベイビーフェデラーと呼ばれていましたが、動きを見ているとフェデラーのような華麗さと言うよりかはキビキビした躍動感のあるスイングをするタイプです。

ディミトロフはサーブ、フォアハンド、バックハンド、ボレーと全てのショットに「キレ」を持たせることができるプレーヤー。スピードボールを効率良く打つセンスはとびっきりで、彼ならではかと思います。特にディミトロフのフォアハンドはスピードと回転を上手く両立させた強いボールを打つことができます。

フェデラーと比較するとボールを打つタイミングという点ではフェデラーよりは劣りますが、キレの良さに関しては同等ぐらいと言っても良いかもしれませんね。

彼のスイングを細かく見ていくと、少ないパワーで効率良くスイングする秘訣が隠されているはずです。今回はディミツトロフのフォアハンドを解説したいとおもいます。

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Contents

ディミトロフスローモーション動画

彼のフォアハンドスイングのスローモーションがありました。

Essential Tennis様提供動画

握りはやや薄めのセミウエスタン。腕はストレートアームタイプです。ストレートアームフォアハンドは腕を伸ばすことによって遠心力を最大限にして振る打法ですね。フェデラーと比較するとやや肘の曲がりが大きいような気がします。

動画で見てほしい細かいポイントは

✓テイクバック時の左腕の使い方
✓スイング開始前の左手の指先
✓右前腕の捻りと捻り戻し
✓フィニッシュの右肩

です。

テイクバック時の左手の使い方

ディミトロフはテイクバックの左腕の使い方が上手いプレーヤー。テイクバックではラケットのスロート(三角形の部分)を直前まで持っていますが、これがスイングに安定感とパワーを持たせるポイントです。

左手でラケットを持ってテイクバックすると

〇自然に体が捻られる→手打ちの防止
〇右肩、右腕の疲労防止→安定感の向上

という大きなメリットがあります。ディミトロフに限らず、フェデラー、ジョコビッチ、錦織など直前まで左手を添えるプレーヤーは多いです。スイング効率、安定感が改善するのでぜひ真似してみてくださいね。

スイング開始前の左手の指先

ディミトロフのスイングでここが結構面白いなと思ったところ。スイング前の左手の人差し指がピンと伸びて「ボールを指差すような」手の形をします。

なぜこのような左手の使い方をするかというとこうすることで左手に神経を集中させる効果があります。フォアハンドにおける左手は打点を正確に測るための一つの目安になります。左手に神経を集中させることでそのあたり「空間」に意識を集中させることができます。

ぜひ、コート上でこの動作を真似してみてください。インパクトエリア付近に自分の集中力が向かうのが分かるはずですよ!

右前腕の捻りと捻り戻し

フェデラーと比較して少し違うなと感じた部分がここ。フェデラーよりも右腕前腕の捻りが大きいです。

右前腕の捻りとはフォワードスイングに入る前に左方向に回転(プロネーション)して前腕を捻る動作です(ロディックやソックはかなり捻る)。ディミトロフはこの動きが大きく、振り出す前のラケット面が体に対して後ろ方向を向いています。

フォアハンドにおいて、前腕の動きはプローネーション→スピネーション→プロネーションという動きをします。出だしのプロネーションを大きくすればするほど大きなパワーが得られるものの、面の返しが大きくなるので不安定になるリスクがあります。そういった意味ではディミトロフくらいのねじりが限度なのかもしれませんね。

右肩が出た状態でフィニッシュ

手打ち予防策としてフィニッシュ時には右肩を出しなさいというアドバイスがありますが、ディミトロフはこの左肩→右肩の入れ替えが大きく、一般プレーヤーにもわかりやすいくらいのいいお手本だと思います。このくらい回転運動をしっかり行えばラケットがあれだけ加速するのもうなずけるはず。

対してフェデラーの打ち方は初心者が真似すると大抵手打ちになります。フェデラーはディミトロフに対して体にラケットを巻き込むイメージが強いため、ついつい右肩を前に出してフィニッシュすることを疎かにしてしまうためです。

体の回転運動についてもフェデラーと比較してダイナミックに使うタイプ。再現性の問題もあるのでどちらが良いかは一概には言えないですが、スイングの推進力が少なく回転過多になってしまうプレーヤーはぜひ真似してみましょう!

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まとめ

今回はグリゴール・ディミトロフのフォアハンドについて解説しました。

スイングパワーを生み出す秘訣は

✓右前腕の捻りと捻り戻しの強さ
✓体の回転運動がダイナミック

な点でしょうか。さらに
✓テイクバックでラケットに左手を直前まで添える
✓左手の指先に神経を集中させる

事で、スイングの安定感や一点にパワーを集める集中力を高めているのではないでしょうか。

ディミトロフのフォアハンドはストレートアームタイプのフォアハンドの中ではそこまで癖がなく、肘もほんの少し、適度に曲がっているため、肘の故障の心配も少ないはず。

ストレートアーム派の方はぜひ参考にして下さいね。

今日はこのへんで。それでは!

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