フェデラー バックハンド 最新の打ち方の特徴は?

photo by Marianne Bevis

もはや生きる伝説ともなったロジャー・フェデラー。年齢を重ねてもなお情熱をもってテニスに臨む姿勢は素晴らしいの一言ですよね。

フェデラーは2016年の途中では長年悩まされている背中のケガであったり、ウィンブルドンの準決勝でミロス・ラオニッチ選手との試合で転倒してしまい、半月板を損傷したりと一時戦線離脱。その後は手術とリハビリでシーズンを終えました。これはフェデラーにとって、初めての「低迷」ともいえるシーズンだったのではないでしょうか。

しかし、2017年では年始のホップマンカップで元気な姿を見せると全豪オープンは決勝でラファエル・ナダルを下し、見事優勝。その後もウィンブルドンもチリッチにストレート勝ちで優勝と奇跡とも呼べる最高のシーズンを送りました。2018年も全豪2連覇とナンバーワンも一時的ではありますが復帰を果たし、ここに来て本当に勢いに乗っています。

彼がそこまで復活できた理由としてはさまざまな要因があると思いますが、一つの大きな要因はなぜか復活したタイミングで圧倒的に強化されたバックハンドでしょう。

具体的にどこが変わったのかというと、最大の違いはボールを打つテンポとスピード感。ライジングショットが圧倒的に多くなり、ボールもスピン系からフラットドライブ系の厚い当たりに変化しました。フェデラーのバックハンドショットは特に鮮烈な印象を残した2017年全豪オープンでは彼のバックハンドを「ネオバックハンド」と称する声もありました。

そこでふと「実際どんなことが変わったのかなぁ」とちょっと彼のバックハンドを分析してみようかと思いました。僕は片手打ちなので彼のバックハンドの変化は結構気になるところでもあるし、ぜひ真似もしてみたいと感じます。

今回は彼の昔のバックハンドと最近のバックハンド。注意深く観察してみたのでそのことについて書いてみたいと思います。

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Contents

フェデラーのバックハンドの「今」と「昔」

以前、フェデラーのバックハンドについて書いてみたのですが、

関連記事:フェデラー バックハンドの特徴 打ち方は?

その時の動画がこちら。

出典:Fuzzy Yellow Balls

結構昔の動画を引っ張りだして説明してしまいました。(笑)この時はまだトップスピンも強くかけていた時代ですね。

そして彼の2017年での最近のバックハンドがこちら。動画ではストロークのスローモーションなのでフォアハンドも打っていますが、バックハンドの振り抜きに注目してみて下さい。

出典:Hugo Legend Sport(※BGMありなので注意)

そう、以前のフェデラーのバックハンドにおける特徴であった前腕の回外運動(スピネーション)がかなり抑えられているように感じられます。
バックハンドの高速化は例えばポジショニングであったりボールを打つときの体重移動であったりもあると思うのですが、このスピネーションを控えめにしていることはかなり意味があると個人的には思います。

ストロークでプロネーション、スピネーションを行うデメリットは?

彼のバックハンドでなぜスピネーションを抑えめしたのか。その意味についてはスピネーション、プロネーションのデメリットを把握することが大切です。

前提としてまず言えるのがストロークにおいてこれらの前腕の回転運動はとても重要です。フォアハンドならば前腕を反時計回りに捻るプロネーション、そしてバックハンドなら逆のスピネーションですね。

この運動は手っ取り早くラケットのスイングスピードを上げられることができますし、ラケットが下から上に自動的に振り上げられるため、トップスピンを強く掛けるためには必須のテクニックです。ですが、この前腕の回転運動は一応デメリットがあります。

一つはラケットが上方向に抜けやすくなるため、当たりが薄くなるという点です。この動きばかりを気にしてボールを打つとスピンだけが掛かった威力のないボールになりやすいのです。

なので、フラットドライブで打ちぬくためにはラケットのプロネーションは少し抑え気味にしてなるべく後ろ→前の意識で体全体をボールを打つイメージが大切です。よく言うのは「ボールとラケットの接地時間を長くなるようなイメージで打つ」感じですね。もっとかみ砕くと「ボール三球分押し出すイメージで打て」とも言われます。これはなるべくプロネーションを使わずに厚い当たりで打つために必要なイメージですね。

トップスピンがどうもかかりすぎてしまう人はまず。前腕の動き、特に使いすぎて前腕だけで打っていないか注意してみて下さいね。

少し話がそれましたが、もう一つプロネーション、スピネーションのデメリットを説明します。それはライジング系のショットが打ちにくくなるという点です。

これもその前に挙げたデメリットに通じる話ではあるのですが、プロネーション、スピネーションを使うとやはり当たりが薄くなりやすいのでライジングショットのような相手のボールの勢いが強いケースで使いづらいのです。

フェデラーのバックハンドは以前からライジング系でしたが、彼の場合ライジングであるのにかかわらずスピネーションを全開に使ってトップスピンを掛けていました。ただ、これに関しては例外で普通スピネーションを使うプレーヤーは例えばアルマグロなど、元クレーコーターが圧倒的に多いです。

ライジングでフラットドライブで打ち抜くならば今のフェデラーのように手首を固め気味で打ち抜くことが大切です。手首のスピネーションを意図的ではなく、ナチュラルに行うことよってボールに対して正確にインパクトできるはずですよ。

スピネーションを控えめにしつつ、ボールに威力を出すコツは?

ただ、スピネーションを控えると当たりの厚さは確保できるもののスイングスピードが上げ辛いというデメリットがあります。

この点を解消するコツが体の使い方にあります。もう一度フェデラーのバックハンドを見て頂けるとわかるのですが、彼の体の左から右に抜けているスイングがそれを解消する重要なポイントになります。

シングルバックハンドでスイングが遅い人に共通して言えることなのですが、後ろから前の意識が強すぎるせいで体の回転を上手く使えていないことが多いです。

大切なので捻った体を元に戻す力を利用するためにやや横殴りのようなスイングでボールを打つ意識が必要です。これは以前の指導法では御法度と呼ばれていたスイングですが、現代ではワウリンカをはじめ、ガスケなども強いバックハンドを打つ選手がかなりその傾向があるように感じます。

このフラットドライブは後ろから前へ打つ意識と、バックハンドのスイングを横方向に持っていく意識、この二つを上手く重ね合わせるのは結構難しいのです。この前に押し込むイメージと横振りで捕らえるイメージを大切にして反復練習で感覚を養えればフラットドライブ系が上手く打てるようになるはずですよ。

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まとめ

今回はフェデラーの最新バックハンドから学ぶ、前腕の使い方について書きました。

フラットドライブ系のショットが上手く行かない人は厚く当てるイメージを持っていなかったり、前腕を無理やり使って打つタイプが多いのです。厚く当てるにはプロネーションやスピネーションを控えめにしてボールをしっかり押し込んで打つイメージを大切にしましょう!

それでは!

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